こんにちは。tillata(ちらた)です。
趣味で独学のカリグラフィーを始めてから5年が経ちました。コミティアとデザインフェスタなどでサークル活動をし、今までに同人誌6冊を出しています。
「カリグラフィーをやりたい!」「書きたい!」「書くぞ!」
と意気込んだ後、いざ本気で取り組もうと思った時ぶつかる問題。。。
「何をそろえたらいいんだろう」
とわからなくなったことはありませんか?
わたしはあります。
ググれば道具はたくさん出てくるのです。
ただ、たくさんありすぎてどれを選んでいいのかがわからない。どれを信じていいのかわからないですよね。
ということで今日は、
「カリグラフィー初心者におすすめする道具や本のお話」をしたいと思います。
わたしのカリグラフィー歴は5年以上なのでご安心ください。
・カリグラフィーに興味はあるけれど、何をそろえればいいかわからない
・初心者におすすめの道具は? 本は?
・ペン先は?
にお答えしていきます。
ご参考になりましたら幸いです。
Contents
【まずは】書きたい書体を決める
カリグラフィーを始めたいと思ったら、まずは書く書体を決めます。
この書体を書きたいのに買う道具を間違えた!
なんてことにならないよう、これから解説していきます。
カリグラフィーの書体は主に3つ
まずはざっと、カリグラフィーの書体の種類のご紹介です。
どのくらいあるの? と問われると、100種以上ありますので全部を学ぶのは難しいです。
まずは代表的な3書体を挙げてみます。
・イタリック体(幅のあるペン先で描く)
・ゴシック体(幅のあるペン先で描く)
・カッパープレート体(尖がったペン先で、筆圧をかけることでペン先がしなり太さが変わるペン先で描く)
この3つです。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
イタリック体
▲こちらがイタリック体。
一番読みやすい文字で、カリグラフィーといえばの代表的な書体です。
丸みがあるのが特徴です。
・イタリア人文学者により、14世紀後半に開発された文字
・傾斜がある丸みを帯びた文字
・カリグラフィーといったらイタリック体
▲こんなペン先で描きます。
ゴシック体
▲ゴシック体の一部
ゴシック体にもオールドイングリッシュなど様々な種類がありますから、ゴシック体の一種ということにしておきます。
正確にいうとわたしの書くゴシック体は、本に載っているゴシック体とは違います。
大半はオールドイングリッシュが主になります。
ということで、こんな感じという雰囲気だけお伝えしておきます。
・カリグラフィーの本で書き方を紹介されているゴシック体は、ブラックレターゴシック体と呼ばれるもの
・ブラックレターは、密度が濃いゴシック体
・ゴシック体は1100年~1500年に広く使われていた
▲イタリック体と同じペン先を使います。
カッパープレート体
英語の筆記体に似ている文字。
ペン先が細いニブで書きます。
・カッパープレート体はエングレバー(調版工)のための書体の一つ。
凹刻印刷用のために薄い銅板(カッパープレート)に文字を彫ったことからつけられたもの
・文字は羽ペンで描かれていた
・当時はラウンドハンドと呼ばれ現代のカッパープレート体となった
⇒羽ペンから現在の専用ペンに
▲コミック用のGペンなどを使います。
ということで以上、主な書体3つでした。
カリグラフィーを学ぶときは、自分がどの文字を書きたいかで使うペン先が違いますので、参考書やネットで書体を選び、ペン先などの道具を選んでいきます。
書きたい文字は決まりましたか?
カリグラフィーを書くためのペン先・ペンホルダー
【イタリック体/ゴシック体など】スピードボールC-2&ストレートホルダー
まずは、こちらのつけペン&ペン軸のご紹介から。
●スピードボールのC-2(3mm幅のつけペン)
●スピードボールのストレートホルダー(スピードボール社のまっすぐな軸)
です。
つけペンをペン軸に差し込み使います。
スピードボールをおすすめする理由
わたしはホントこのペン先が好きで、ずっとずっと愛用しています。
なぜ他のペン先に目移りしないのか、なぜこれにこだわり続けるのか。
その理由をご紹介します。
・とにかく書きやすい
・インク留めがついており、さらさらした万年筆インクを付けても紙に垂れない。
・適度なしなりがあり、綺麗なカーブを描くことができる
・買ったらすぐに使える(何もしなくても、インクが弾かれることなくすぐに書けます)
・安い(484円)
・国内供給が安定しており、常に入手可能
(つけペンは消耗品なので、ダメになったら替えが必要)
・プロも愛用している
安くて書きやすい、手に入りやすいというのが大きなポイントです。
高かったら買いにくくなりますし、
書きやすくなかったら問題外ですし、
手に入りにくかったら使えません。
どれかが欠けてはダメなんですよね。
▲ネット通販はばら売り・セット売り、両方あります。
▲お店はこちらをご参考ください。
ストレートホルダー(ペンホルダー/ペン軸)
右のペンホルダー(ペン軸)はスピードボール社のものです。
わたしはこちらを愛用しておりますが、ペンホルダーはおすすめがなく、自分が好きなものでよいかなと思います。
理由は
・個人によって手の大きさが違う
・軸を持った時の感覚が違う
・形やデザインの好みが違う
からです。
ですから、自分に合った軸を選ぶのがベストなんですよね。
・握りやすさ
・書いている時に指が滑らないか
・軸のデザイン・美しさ
を見て決めます。
とくにこだわりがなければ、わたしの好きな
「スピードボール社のストレートホルダー」
をやんわりおすすめしておきます。
安くて&握りやすいです。
ペン先と同じく、5年以上愛用中です。
ストレートホルダーをリアル店舗で購入したい方は、文房具店のコミック画材コーナーをおすすめ。
つけペンの軸がたくさん売られています。
丸ペン用というもの以外でしたらどれでもお使いいただけます。木製・プラスチック製・丸い軸・3角形などなど。
種類があって選ぶのが楽しいです。
特に新宿東口のルミネエスト6Fにあるトゥールズさんというお店は天国でした。
|
続いて、文字のことを書きます。
スピードボールC-2で書く【イタリック体】
▲万年筆のインク「紺碧(パイロット・色彩雫)」で書いてみました。
こちらのスピードボールC-2では、細い部分&太い部分が綺麗に書け、カーブも上手く出すことができます。
▲色を変えることでいろんな雰囲気も楽しめますよ。
スピードボールC-2で書く【ゴシック体】
▲続いてゴシック体。
万年筆のインク「ビルマの琥珀(エルバン)」で書いています。
「クレープ」
おいしそうな色と美味しい言葉が好きなのです。
飾りの植物のツルだけはゼブラGペンで書いていまして、それ以外がスピードボールC-2で書いています。
▲スピードボールC-2を2本用意し、それぞれ別の色を使うことで文字をカラフルにも。
「クッキー」
「C」の装飾など、飾りはスピードボールC-2以外のペン先で描いています。
スピードボールC-2で書く【カロリン体】
▲カロリン体です。
紹介していなかった書体でいきなり出してしまいましたが、カロリン体です。こちらも好きな書体なので一緒にご紹介しておくことにしました。
万年筆のインク「ビルマの琥珀(エルバン)」で書いています。
「ワッフル」
植物のツルだけはGペンで。
スピードボールC-2のペン先はやっぱり綺麗と、何度も何度も思うのです。
スピードボールC-2で書く【アンシャル体&カロリン体】
▲アンシャル体も好きなのでこれからご紹介します。
「大文字のP」だけアンシャル体、残りはカロリン体。
万年筆のインク「ビルマの琥珀(エルバン)」と、葉っぱはウィンザー&ニュートンゴールドで書いています。
丸みを帯びた文字が本当に可愛く描けるペン先でもあります。
「パンケーキ」と書いてあります。
【カッパープレート体】コミック用Gペン【ゼブラ/タチカワ/ニッコウ】
続きまして、Gペン。カッパープレート体。
コミックを描く時に使う漫画用のGペンです。
カリグラフィー用とは書いてありませんが、カッパープレート体やスぺンサリアン体が書ける、国産のすごいペン先なんですよ。
▲種類は主に3種。ゼブラ、ニッコウ、タチカワ
です。
個人的にゼブラの普通のが好きですが、基本的にどれでも書けるのでおすすめは特にありません。ちょっと固い・やわらかめもありますので、個人の書きやすいものを見つけるのがベストと思っています。
ペン先1つで書ける文字も違ってきますので、このペン先選びは非常に大事です。
新宿東口、ルミネエスト6Fのトゥールズさんや、大きなアニメイトではGペンの書き比べセットというのが売られています。
そんな夢のようなバラセットで試してみるのも良いですよ。
▲ゼブラGペンでのカッパープレート体
▲Gペン×カラフルなインクで描くカッパープレート体
国産なのに英語のカリグラフィーできるところがGペンの好きなところです。
国産で漫画用なので供給量も豊富で、都会やネットではもちろんのこと、田舎でも比較的手に入りやすいペン先なんですよね。
こんなに素晴らしい品物がわたしの田舎でも買える!
というところがさらに素晴らしいです。
オブリークホルダー(カッパープレート体用のペンホルダー)
カッパープレート体を描く時、Gペンを差し込むペン軸。
ペン先を斜めに差し込める特殊なペンホルダーです。
こちらもストレートホルダー同様たくさんの種類があり、これいいよというおすすめが難しい軸でもあります。
理由は、
・ペンによって微妙に角度が違う
・書き癖が人によって違う
・デザインの好みが違う
のです。
特に1番の角度の違いは大きいです。
本当にわずかの違いなのですが、書きごこちに大きく影響し、書ける文字も違ってきます。
同じペン先でもペンホルダーによってまた文字に変化が起きるくらいオブリークホルダー選びは重要になってきます。
▲書く文字が細くて繊細だからこそなのかもしれません。
【インク】万年筆のインク
カリグラフィーのインクのおすすめは、「万年筆のインク(水性)」です。
写真は、大手文房具メーカーのパイロットさんから出ている、「色彩雫」という、四季をイメージした万年筆インクの中の3本です。
左から、「天色」「月夜」「深海」。
青色がとても美しい3本。
インクの名前も素敵ですよね。
▲Twitterより、「天色」を使った作品。
▲月夜の色と聞いただけでテンション上がる色
▲「深海」このブルーブラックもまたたまらない色。
万年筆インク×カリグラフィーは最高。
・色数が豊富
・インクの名前が素敵
・デザインが良いものが多い
・つけペンに付けて使い終わった後、インクを落としやすい
・インクの濃淡がとても美しい
・愛用者が多いので、SNSなどでの交流が広がる
・耐水性でないので水を落とすとインクが落ちる
・インクで紙が汚れやすい(丁寧に扱えば大丈夫)
・耐光性がないので光に当てるとインクの色がだんだんと薄れる(長期保存が難しい)
・値段が高い(1本700円くらい~2000円が通常価格帯で、2000円が普通)
良い所もあれば悪い所もあります。
カリグラフィーはカリグラフィー用のインクでももちろんできますし、絵の具でもできますし、それが通常かなと思いはしますが、でも万年筆インクが個人的には好きなのです。
色が美しいので、練習が楽しくなるんですよ(個人的に)。
カリグラフィーを楽しみたいよという方に、万年筆インクをおすすめしておきます。
挫折しやすいカリグラフィーだからこそ、万年筆インクをご紹介しておきます。
練習におすすめの紙
▲わたしオススメの紙
ダイソーのプランニングパッド&ダイソー高級筆記用紙
カリグラフィーの紙は、それが例え練習用だとしても重要になります。
・インクが滲まないか
・ペン先が紙に引っかからないか
▲紙選びの基準2点。
こちらをクリアすればなんでも良いです。
オススメは先ほどのレポートパッドの他に、マルマンさんのレポートパッドもおすすめです。
レポートパッドは5mm方眼なのでガイドラインとしても使えます。
ダイソーの高級筆記用紙は大きさが豊富なのでお好きなものをどうぞ。
ガイドライン
初心者の練習に必要なものは、ガイドラインという紙もあります。
練習用紙の下に敷き、書く時のガイドとして使います。
イタリック体、ゴシック体、カッパープレート体など、書体のそれぞれにペン先に対する大きさや角度というのがありまして、それをガイドしてくれます。
・書くべき正しい角度が常にわかる
・ペン先に対する正しい文字の大きさが常にわかる
いわゆる道しるべになってくれる力強い味方なのです。
このガイドラインがあるかないかで上達度や仕上がりが大きく変わっていきますので、こちらも必須アイテム。
なくてもカリグラフィーの練習はできますが、あった方が断然よいです。
ガイドラインは、カリグラフィーのやり方の本にあります。
▲ガイドラインが載っている本
こちらの本は掲載書体も豊富で、すんごくおすすめです。
初心者におすすめの本
▲小田原真喜子先生の本。
カリグラフィーの書き方がわかる本たちのご紹介です。
どれもこれも初めての方にやさしく、初心者の強い味方です。
&どれもこれもカリグラフィーの楽しさを教えてくれます。
ページを開くたびに、カラフルなカリグラフィー作品が飛び込んでくるのです。
自分も書きたいと思わせてくれる作品ばかり。
カリグラフィーの書き方は、どの本も丁寧におしえてくれています。
昔の本ですが、今でもものすごく新鮮です。
最後に
以上、おすすめの道具や本でした。
わたしが5年間、何度も何度も道具を変え道具を変えたどり着いた愛用品(おすすめ品)がこの記事にまとめたものになります。
ペン先に関しては、スピードボールのC-2をゴリ押ししてしまいましたが、他にもウィリアムミッチェルやブラウゼといった素晴らしいブランドも存在します。
カリグラフィーブランドの3本の指に入るところです。
残念ながらわたしはその2つを使いこなせていないのでご紹介できないのですが、プロの方の愛用が多いところです。
あとは、おすすめをいろいろ書いてはきましたが、最終的には個人の好みもありますので、自分に合ったものを選んでみてください。
まだまだわたしの知らない道具はたくさんありますので、これ以上のものがあるかもしれませんしね。
ではではこのへんで。
ありがとうございました!
楽しいカリグラフィーライフを。